見上げれば聞こえてくる
島々の「星物語」

竹富町は日本初の星空保護区®に認定されています。

※星空保護区は、ダークスカイ・インターナショナルにより認定されています。

美しい星空が広がっている竹富町の島々には、島ならではの星の
名前や、物語、古謡が残っています。
星空に癒されながら、島の星文化に触れてみましょう。

星の形にすっぽり収まる
竹富町(八重山諸島)は、
日本最南西端の島々

東京から、2000Km、福岡から、1200Km
沖縄・那覇から400Km

東経124度、北緯24度

竹富町の島々では
どうしてこんなに星が見えるの?

星がよく見える理由の一つとして、都会に比べ街に光が少ない
ことが頭に浮かぶと思いますが、実はそれだけではないのです。

ポイント01南十字星の見える島々
東経124度、北緯24度

東京では、水色部分の星は見られません。

沖縄は本州から1000kmも南に遠く離れ、八重山諸島はさらに沖縄本島から400km南に位置しています。北緯24度、北回帰線のすぐ北側の亜熱帯の島々です。東京や大阪など本土では見られない南の星空が広がっています。88星座のうち、84星座が見られ、21個の1等星すべてを見ることできます。
南十字星や「ぱいがぶし(南の星)」とよばれるケンタウルス座のα星、β星が見られます。

ポイント02星々がくっきり見える

沖縄は偏西風(ジェット気流)や貿易風の影響が少なく、上空の大気が安定で、星々が瞬かず、くっきりと見えます。
私たちは、大気を通して星を見ています。水の澄んでいる池では、魚や底の石は姿形がはっきりと見えますが、流れのある川では揺らいでよく見えませえん。上空の大気が揺らいでいると、川底の石のように星も揺れていて、くっきりと見ることができないのです。

竹富町の星々

ユニークな、竹富町の星々の見どころをご紹介します。

日本でもっとも長い天の川

沖縄では、国内で最も長い天の川が、1年中見られます。西欧では、ミルクを流したように見えるので、ミルキーウェイ(Milkyway)とよばれ、沖縄では夜空に流れる川のように見え、「てぃんがーら(天の川)」とよばれます。夏は、晴天が多いので南の水平線から北の水平線まで、天空を横切る天の川が見られ、大川(うーがー)ともよばれます。
七夕の星、彦星(わし座のアルタイル)、織姫星(こと座のベガ)は、八重山諸島では「うやき星」とよんでいます。

日本の最南西端の波照間島からは、日本でもっとも長い天の川が見られます。
カヤマ島の木造の桟橋の上空を流れる「てぃんがーら(天の川)」
陸路では行けない西表島の船浮地区の夜は、静寂で、星々のささやきや天の川のせせらぎが聞こえてきそうです。

さそり座のおはなし

夏の代表的な星座さそり座は、星座の本の多くでは「夏の南の空に横たわって見える」と紹介されていますが、梅雨明けの早い沖縄では、天に昇る大きな竜のような、さそり座を見ることができます。

さそり座のアンタレスを波照間島では、泡盛を呑んで顔を赤くしているオジイ「びたこりぶし」(酔っ払い星)とよんでいます。
このオジイは、夜な夜な天の川の下流で、ウナギ釣りをしているそうです。たしかに、天の川の帯の中心には暗黒星雲が筋状に伸びてウナギに見え、S字の形をしたさそり座のアンタレスからの下半分は釣り針のようで、天の川に降ろされていますね。
島の人たちは、夕ご飯が終わると縁側で、「今夜もオジイは、ウナギが釣れるかなぁ」と天の川を眺めていたそうです。

冬の星座むりかぶし(すばる)

「すばる」は、まだ星間ガスが取り巻いている若い星の集まりで、プレアデス星団とよばれています。肉眼でみると、6~7個の星の集まりのようにみえますが、よく見るともっと多くの星が見えるので、漢字では「群星」と書かれ、沖縄では「むりかぶし」「むりぶし」などとよばれます。
島々で農作物の種(種まき)の時期を知るために使われてきた代表的な星です。
冬の星座ですが、夏の夜明け前に東の空に昇ってくるのを見ることができます。

豆知識
日本最西南端に位置する竹富町の島々は、街の灯かりの影響がなく、流れ星がたくさん見えます。東経124度の島々の夜明けは、関東地方より45分ほど遅く、流星群などの観測には最適です。願い事をいっぱいもって島々を訪ねましょう。

島の星文化

竹富町の島々には、今も昔も星々と共に暮らした島人の星文化が受け継がれています。

てぃんさぐの花とむりかぶし

県民歌として歌い継がれている「てぃんさぐぬ花」は、教訓歌としても知られていますが、「むりぶし(すばる)」や「にぬふぁぶし(北極星)」の二つの星が歌い込まれ、広く親しまれています。

「てぃんさぐぬ花」の歌詞

天(てぃん)ぬ群星(むりぶし)や
読(ゆ)みば読 (ゆ) まりしが
親(うや) ぬゆしぐとぅや
読(ゆ) みやならぬ
天上に群れる星は
数えれば数え切れるが
親の教えは
数え切れないものだ
夜はらす舟(ふに)や
にぬふぁ星(ぶし)見(み)あてぃ
我(わん)なちぇる親や
我(わん)どぅみあてぃ
夜、沖に出る舟は
北極星が航海の道しるべです
私を産んでくれた親は
私の人生の道しるべです

*2番に「むりぶし」、3番に「にぬふぁぶし」が謡われています。

むりかぶしと十五夜祭(竹富島)

竹富島の十五夜祭の旗頭には「てぃだ(太陽)」と、7個の星=「むりかぶし(すばる)」が、豊作への感謝の気持ちを込めて飾られています。

竹富島 東の村の旗頭

星見石

八重山諸島には、むりかぶし(すばる)の見える方角や高さを測って、稲やキビなどの種まきの時期の目安としていました。
竹富町の島々にも、星見石などがいくつか残されています。
昔は星見石を使って、島の古老が、むりかぶしの位置を朝や、夕方に測り、種まきの時期を決めていたそうです。

竹富島の星見石・波照間島の星見石
節さだめ石(小浜島)
星見石の一種、十二支に合わせた12個の穴が作られています。月ごとに穴に竿を挿して、むりかぶしなどの星の位置を観測し、農作物の播種の時期を決めていました。

にしななてぃぶし (北斗七星)の
お話

にしななてぃぶしの柄の先から二つ目の星は、よく見ると大小二つの星が並んでおり、竹富町では、天に帰っていた星女房のお話が語り継がれています。
島の貧しい農家の若い男のところに、若い娘が嫁にしてくれとやってきます。何度か断るのですが、二人は結婚して、かわいい子供も生まれ、幸せに暮らしていました。
ある晩、男がにしななてぃぶしを数えてみると6個しかありませんでした。女房にそのことを話すと「私は、にしななてぃぶしの姉妹の一人です。6個しかないと知られた上は、天に帰らないといけません」と、子供を連れて帰ってゆきました。
北斗七星のこの二つの星は、ミザールとアルゴルですが、竹富町の島々では、毎晩天に帰っていった女房とこどもの星を眺めながら、一生懸命に働いた男の話が残っています。

今日の竹富町の天気予報

暗い夜空をまもる取り組み

竹富町の島々では、素晴らしく輝く星々も自然環境の一部として守り受け継いでいくべく、照明の設置時は光が上空に漏れないようにする、必要のない灯りは消すなどの取り組みが呼びかけられています。

竹富町の街灯は、上向きの光をカットし、眩しさを抑えたタイプのものに改修、交換が進められています。