島で生まれ育って良かったと思うから、みんなで支えあうこの島で自分も子育てしたいと思いました。
小浜島でサトウキビや島野菜の栽培を手がける大久勇真さんは、農業界の若きリーダー。本業はもちろん、芸能の島の伝統行事を担う青年会の一員として、そして3人の子どもの父親としても日々忙しく活動する勇真さんに、小浜島のくらしについて聞いてみました。
島を離れていた時、行事の時期になると島を思い出してさみしくなったりしていました。
小浜島で生まれ育って、中学を卒業してから高校、大学と島を離れたんですけれど、豊年祭や旧盆など行事の時期になると島を思い出してさみしくなって。小さいころから島の行事を見たり参加したりしてきましたから、自分がその場にいないことがさみしくて、島が恋しくなるんですね。大学のあった名古屋でも楽しく過ごしていたんですけれど、卒業したら島に帰ることに迷いはなかったです。島でサトウキビ農家をしている父親の跡を継いで、今は父と一緒に農業を営んでいます。
行事には、みんなの気持ちがひとつになる高揚感があります。
小浜島には豊年祭、旧盆、結願祭という3つの大きな行事があって、期間中は仕事もお休みになります。祭事行事は僕たちの生活の一部で、行事を中心にして1年が回っている感じですね。だいたい1週間くらい前から練習が始まって、笛や太鼓、踊り、方言の歌や台詞を覚えます。僕は太鼓が得意なんですが、先輩方の教え方がとっても上手なんですよ。最初は「できなくてもいいよ、まず打ってごらん」と見よう見まねで打たされて、「そうそう、そんな感じ。間違ってもいいよ」と言われて楽しんで打っているうちに、どんどん上手になっていくんです。祭りの時は、身につける衣装にも細かい決め事があって、着物は各家庭で糸づくりから染め織り、仕立てまですべて手作りするのが伝統です。祭りが近づくと、子どもからお年寄りまで、集落のみんなの気持ちがひとつになっていく高揚感がありますね。
若者が島で生活できるように、地産地消の農業を目指しています。
普段はサトウキビ栽培が中心ですけれど、最近は観光が好調なので、リゾートホテルやレストランから島野菜の注文が増えています。今はまだ島らっきょうと青パパイヤくらいですけれど、島で消費される分の野菜は島で生産できるように、地産地消の農業を目指しています。島の伝統行事を継続させていくためには、若い世代が島にいることが大切なので、農業で生計を立てることができれば、同年代の友人たちも島に帰ってきやすくなるんじゃないかな、と。僕らの年代が行事も島の方言もしっかり受け継いでいかないといけないな、ということは意識しています。
子育てするのに最高の環境を、次の世代にもつないでいきたい。
今は妻と3人の子宝にも恵まれて、子育て真っ最中です。島を離れた時に、小浜で生まれ育って本当に良かったなと思えたので、いつか自分もここで子育てしたいなぁと思っていました。うちの子どもたちは、家族や親戚はもちろん同じ年くらいの子どもを持つ友人や青年会の仲間たちなど、島の人たちみんなに見守られて育っています。親だけで子育てしていないですね。小浜の文化や風景、みんなで助け合う当たり前の島のくらしを、自分たちの子どもや、その次の世代にも残していけたらいいなぁと思っています。青年会の同年代のメンバーたちと飲むと、いつもそんな話をしていますね。
またん わーりたぽーんなーなー👋
(小浜島の島ことばで「また来てくださいね」)
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