西表島
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西表島・ヒナイ川流域で出会うマングローブの森とヤエヤマヒルギ

令和7年5月、西表島北部のヒナイ川流域を訪れました。

このエリアは、豊かな生態系が広がる「ピナイサーラの滝」へと続く道でもあり、利用に際しては事前の申請とルールに基づいた立ち入りが必要です。今回は自然観察ツアーに同行し竹富町観光案内人条例のもとで、地域の自然について学びながら歩きました。

目的のひとつは、「ヤエヤマヒルギ」を探すこと。

マングローブ林の代表的な樹種であるヤエヤマヒルギは、干潟や河口など満潮時に水没する場所に自生し、特徴的な“支柱根”を張って潮流や風に耐えながら成長します。西表島では、ヒナイ川流域の静かな水辺に多く見られ、実際にその大きく力強い姿を間近に観察することができました。

マングローブとは、海水と淡水が混じり合う汽水域に形成される森林で、ヤエヤマヒルギのほか、メヒルギやオヒルギといった多様な植物が共存しています。また、それらを支える環境には、シオマネキやトビハゼといった干潟の生き物たちや、水鳥なども見られ、西表島の豊かな自然が息づいていました。

私自身、なぜヤエヤマヒルギを探していたのかというと、以前から“日本のマングローブ”について関心があり、特に八重山諸島にしか分布しないこの種を、自分の目で見てみたいと思ったからです。写真や図鑑で見るのとは違い、実際の風景の中でその存在感を感じる体験は、とても貴重なものでした。

西表島の自然は、ただ美しいだけでなく、島の人々によって大切に守られてきた宝物です。訪れる私たちもその一部を知ることで、自然とのよりよい関係を築いていけたらと思います。

(取材・執筆:(一社)竹富町観光協会)