波照間島の幻の酒「泡波」は
旅の思い出と一緒に味わって
波照間島の波照間卓也さんにお話を伺いました。
波照間酒造の3代目となるべく、現在は製造責任者として日々修行中という波照間卓也さん。島の酒「泡波」を愛情込めて醸造されています。
祖父から父へ受け継がれた酒造りを繋いでいきたい
酒造りの仕事についたきっかけを教えてください
波照間生まれの波照間育ちなのですが、石垣の高校へ通うために中学卒業と同時に島を出ました。波照間島には中学校までしか学校がありませんからね。その後、沖縄本島に渡って酒造りとは全く関係ない仕事に就いていました。島へ戻ってきたのは結婚して子供ができたのがきっかけです。いずれは帰るつもりでいましたしね。
波照間酒造は僕の祖父が1950年に始めた蔵元で、今年で70周年を迎えました。その後父が引き継いでいるので、僕は3代目ということになりますが、現在は製造責任者として働いています。泡波は、今の暮らしに欠かせない酒ですから、これからも祖父と父がつないできた仕事を僕らもしっかり続けていきたいと思っています。
島外ではなかなかお目にかかれない希少な酒
幻の酒とも称される泡波とはどんなお酒なのですか?
うちの蔵元では泡波だけを製造していて、種類も一般酒の30度のみ。ほんのりと甘さがありすっきりしているのが特徴です。父と母と弟と僕と奥さんと、家族5人だけで造っているので、仕込める量も少ない。さらに、波照間島から島外に出荷するには貨物船で運ばなくてはいけないので、ここでも出荷数に限りがでる。それで、島外で販売されている数が少なくて「幻の酒」といわれるようになったんじゃないでしょうか。
もともと、島の暮らしに必要な分だけ製造していた酒ですし、設備の面などを考えてもあまりたくさん量を出すことができないんです。今後は、量を増やしていくことも考えていきたいですね。飲んでみたいという人は、ぜひ波照間島へお越しください。私たちの営んでいる「泡波酒店」では、常時泡波を販売していますのでお土産にぜひ。オリジナルの泡波グッズも販売していますよ。
酒は生き物。24時間一瞬たりとも気が抜けない
泡盛の醸造をするにあたって特に気をつけていることはありますか?
蔵元の朝は早くて、5時30分頃から仕事が始まります。原料であるタイ米を洗米し、浸米して蒸してから黒麹菌を種付けし、蒸留へと工程は進んでいきます。仕込みは直火窯で行っていますが、火を使わない日は盆と正月くらいしかないので、休みはないようなものですね。
どの工程でも温度管理がかなり重要になってくるのですが、うちはほぼ手作業でやっています。朝も夜も、自分たちの手で触って温度を管理するんですよ。ここが味の決め手となるので、気が抜けない。酒の出来の良し悪しは、気温や湿度にはかなり左右されるんです。僕が子供の頃は、父に「子供より大事」っていわれていました。子供は一日食べなくても死なないけど、酒は一日放っておけば死んでしまうって。こっちが思った通りにうまくいかないから大変なんですけど、そこが酒造りのおもしろいところだとも思っています。
島の酒は島で飲むのが一番。泡波を飲みに波照間島を訪れて!
泡波のおいしい味わい方を教えてください
泡波は波照間島で味わうのがいちばんおいしいと思いますよ。波照間の人は少しシャイですが一緒に飲んだらきっと仲良くなれるはず。ぜひ島の居酒屋に行って、島の人と話をしながら飲んでください。そうして、泡波のおいしさも、波照間島の良さもどちらも感じてもらえるとうれしいです。
お土産に購入して帰って家で飲む場合は、水割りにするのがいいんじゃないかな。酒と水を4対6にするのが僕のおすすめですね。シークヮーサーがあればちょっと絞るとさらにおいしい。ブラックコーヒーで割る人もいるみたいですよ。波照間島の美しい海や出会った人たちを思い出しながら、楽しんで飲んでくださいね。
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