私たちの島時間レポ  小浜島

島の祭りや暮らしは最高だから
小浜の農業を食べていける仕事にしたい

小浜島の大久勇真さんにお話を伺いました。

30歳という若さで農業生産法人小浜島ファームの代表を務める大久勇真さんは、生粋の島人。未来の小浜島の農業を背負っていく若きリーダーです。

小浜島の伝統行事を継ぎたくてサトウキビ農家の道へ

サトウキビ農家になったきっかけを教えてください

中学まで島で過ごし、高校へ行くために島を出ました。その後は名古屋の大学へ進んだんですけど、そのまま内地(日本本土)に残ろうとは考えていなかった。だから、卒業してすぐに島へ帰ってきてサトウキビ農家になりました。父の会社がサトウキビ業をやっていたのもありますが、実は小浜島の伝統行事を継いでいきたいという気持ちが大きかった。小浜島には大切な祭りがたくさんあるので。島の祭りをやっていくためには、島で仕事をして暮らしていけてないと難しい。それで、家業を継ごうと考えました。

僕みたいに、島の伝統行事をやりたいから島に残りたいっていう若者は少なくないんですよ。だから、若い人が島に帰ってこられるように、小浜の農業を食べていける仕事にできるように、僕らはいろいろと考えて頑張っていかないといけないと思っています。

サトウキビの手入れをする大久さん。猛暑の中での作業は大変だという

収穫は年1回。安定収入を確保することが大きな課題

サトウキビ農家の仕事について教えてください

小浜島のサトウキビの収穫時期は1~3月。春植えと夏植えがあるので、年に2回植え付け時期があります。春植えだと2~3月に植えて1年で収穫。夏植えだと9月に植えて1年半で収穫します。春植えと夏植えではそんなに大きな違いはないんですけど、発芽も収穫量も良いのは夏植えかな。でも、最近は品種改良も進んでいてサトウキビの成長も早く、糖度も高くなっているので春植えでも全然ひけをとらない。

僕の会社では畑をだいたい8町分(24000坪)くらい持っていて、収穫は夏と春植えで半分ずつやっています。だから、1回で300~400tくらいの収穫量になりますね。植え付けや収穫の時期以外は、キビの手入れをしたり肥料を入れたり、次の植え付けの準備をしたりします。サトウキビは収穫の時期が決まっているので、一年を通じて安定収入が得られない。これをどうしていくかということが大きな課題です。

24000坪という広い農地を受け継いだが、今後もさらなる拡大を目指している

未来の島の農業のために新たな可能性を探っていきたい

今後の小浜の農業はどうなっていくと思いますか?

小浜のサトウキビの生産組合に加盟している農家は50軒くらいあるのですが、半分以上は60代以上と高齢です。だから今後は引退する人が増えてくる。小浜島内の畑を減らしたくないから、僕らがそれを引き継いでいきたいと思っているので、今までより広い畑で効率よく収穫量を増やすための機械化を進めておかないといけないと考えています。広い土地があればたくさんキビを植えられて収穫量も増やせますから、一年をカバーできる収入を得ることもできるようになると思うんですよね。

最近はサトウキビ以外に野菜の畑も始めました。島で収穫した野菜を島内のホテルに卸すということも少しずつやっています。ハウス栽培もスタートさせたくて準備しています。他にもレストランやホテルで使う食材を運ぶ運送業なんかもやっていますよ。どうしてもサトウキビの収入って時期が決まっているので、一年を通じて安定収入を確保できるようにするために、新たな仕事を作っていきたいと考えています。

野菜や果物の畑で収穫できたものは島内の宿泊施設などに卸している

本当の意味での地産地消を実現してみたい

サトウキビ業以外で今後やってみたいことはありますか?

小浜大豆を復活させることかな。小浜島には小浜大豆っていう固有の大豆があるんですけど、今は誰も作っていないんじゃないかな。僕が小学生くらいの時に、祖父が琉球大学の先生と数十年ぶりに小浜大豆を復活させようと頑張っていたんです。その時の種が残っていたので、これをつないでまた復活させたい。これから生産組合を立ち上げてしっかりやっていこうかなと思っています。

小浜島で小浜島固有のものを作って、それを島の民宿やホテルで観光客が食べて喜んでくれたら、それはそれでひとつ、島の収入源になりますよね。外に出なくても島に仕事があって暮らしていければ、伝統行事もつないでいくことができる。みんなで集まって祭りをやるのって、本当に楽しいですからね。

「祭りがいちばん大事」と話す大久さんは青年会でも活躍している

大久さんのレポまとめ

大久さんが暮らす島の風景